旦那!
ご無沙汰で。
いえね、今日はチョイとゆだ屋の旦那に珈琲焙煎の事について少し掘り下げた話を聞いて来たんで寄ってみたんで。
ほら、やれ浅煎りだ中煎りだ深入りだって云うじゃないですか?でも手前はね、いっつも疑問に思ってたんで。
どうして米や肉や魚を旨く(その他諸々)炊いたり焼いたりするときは大体みんな同じ加減で仕上げてるのに珈琲焙煎だけがあんなに幅が広くても許されるんだってね。
それでですね、ゆだ屋の旦那の話ではあくまで主観だけどもゴールが見えないと幅が広くなるんじゃないかって事らしいんで。(主観なのでクレームは受け付けないそうで(笑))
仕入れから抽出まできちんと条件を揃えて最後にカップの味を評価すればゴールが見えるらしいですよ?旦那?でも此れってなんだか何云ってるか解らないですよねぇ?
要するに例えばこの産地の豆はフレンチプレスが美味しくて、別の豆はペーパードリップ。また別の物はステンレスメッシュのドリッパーですと珈琲屋に云われたらお客である手前どもは困惑しきりです。
この場合、よくよく見てみると焙煎度合いが産地ごとに浅煎りから深入りまで扱ってる場合が多いようなんで。
いくら美味しい珈琲を飲むためとは云えそれでは手前どもお客の立場からすればそんなに道具を買いたくないし何より面倒だと思ってしまうもんです。
なので先ずは此処を1つに絞ると良いらしいんで。あ、でもあくまで愉しむためならば色々な道具を経験するのは良いんじゃないかって事です。
で、抽出が決まったらその前工程である焙煎度合いを見るみたいなんで。
此れも銘柄ごとに替えずに浅煎りなら浅煎り、中煎りなら中煎り、深入りなら深入りで統一する方が良いらしいんで。と云うのも結局はそうすることでブレンドも作りやすくなるなしいですよ?ブレンドの基本は同じ焙煎度合いで揃える事らしいんで。其れなのに見事に浅煎り中煎り深入りの豆が混ざっているブレンドがあったとしたらば其れは一番良い焙煎ポイント(ゴール)が見えてないと云っているようなもんらしいですよ?
あ、ブレンドの事も色々聞いたんですがね。今日はよしておきましょう(笑)。
で、結局のところゆだ屋の旦那は何処が一番美味しいんで?って聞いたんです。
中煎り(絶対焙煎領域)って云い切ってましたんで。此れが基準として案内しやすいと。
手前は聞きましたよ。どうしてですか?って。
結局、珈琲焙煎なんて乱暴な云い方をすればただ火で焙って一番豆に良い感じに火の通った具合を見て出すだけだっていうんです。其れが中煎りなんですってよ。
ただやっぱり其れにも理由はあるみたいでしてね、今はスペシャルティーコーヒーと云うとても質の良い豆が手に入るかららしいんで。
肉で云えば、大田原牛や松坂牛を出すステーキ屋に云ってシェフが美味しく焼いてくれる焼き方は共通してミディアム。
其れをシェフがウチにしか出せない味の表現ですとか何とか云って焦げ焦げのウェルダンで出して来たらお客は立腹するでしょ?って云うんですよ。
でも、此れが珈琲となるといくら高品質な豆でも焦げ焦げの深入りが許されて趣向品ですからで片付けられちまうんで。流石にブルーマウンテンでそんなことをしていたら手前も閉口しちまいます。
例えばどこそこの女将さんが家族のためにアジの開きを買ってきて晩御飯のおかずにとグリルで焼いたとしてその焼き加減は目で見て確認して焦げ焦げにならずに良い感じで身がふっくらしたら火を止めるのは何処の女将さんだってフツーにやっていること。此れを、私にしか出せない味よなんて言ってまだ生だったり炭のように焦げ焦げで出されたら家族は文句を云うもんです。
他の料理でもほとんどが美味しいポイントは共通で決まってるのに珈琲は違うはなにやら宗教じみてる証拠なんで。
って具合でゆだ屋の旦那は中煎りを推奨してるらしいんですよ。
素材が良ければ焙煎ポイントは1か所で十分。
結局、珈琲屋がなんだかんだ小難しく焙煎や抽出を語っても良い生豆とゴールを知っていればやることは至極単純らしいんで。
え?じゃあ結局は何かって?
旦那、こう云っちゃなんですがね。ゆだ屋の旦那曰く、珈琲屋は結局は焙煎なんかで自分の味なんてものは絶対に表現できないらしいんで。
こう云っちゃがっかりする人もいるかもしれないですがね、ゴールさえ知っていれば誰が焙煎してもブラジルなら同じブラジルの味にしかならないってのがオチらしいんで。(だからブルボンとムンドノーボの違いも分かりやすい)
先に触れた通り肉や魚は誰が焼いても同じ味になる事は誰もが解っていて、結局味の決め手は素材次第って事なんで。
じゃあ、珈琲屋は自分の味を表現できないのかって?
旦那、其処でブレンドが出てくるらしいですよ?シングルオリジンできちんとゴールが見えてこそ本物のブレンドが見えてくるから其処で表現するらしいんで。
でもね旦那、今日は焙煎度合いの話だったのでブレンドの話はまた今度に致しましょう。
其れでは手前は此れで。
おしまい